肩があがらない原因は肩関節に問題があると考えがちですが、実はその代表的要因は猫背にあります。
一見あまり繋がりのないように思えますが、実は肩関節のしくみを理解すると理解できます。
皆さんも普段、スマホ操作・パソコン作業、家事・デスクワークなど、姿勢をそれほど意識することなく行っているのではないでしょうか。
しかし気が付いてみると、肩や背中が丸くなっていたり、カバンを肩にかけた時は首に力が入り左右バランスが崩れていたりと、実は日常生活の中には、肩があがらない要因となる猫背になっている状況が多く存在しています。
今回は、良い機会ですので肩関節のしくみを広くご理解いただき、それを踏まえながら「肩があがらない問題」のお話へ進めていきます。
1.肩関節のしくみ
(1)肩関節の構造
(2)肩関節を安定させる機能腱板
2.なぜ肩があがりにくくなるのか
3.猫背は代表的原因
4.猫背による肩関節問題を解決する
まとめ
肩関節は胸骨・鎖骨・肋骨・上腕骨・肩甲骨などから構成されており、関節の中で最も可動域があり360度動かすことができます。
一般的には、肩甲上腕関節と呼ばれており、上腕骨の先端にある骨頭と呼ばれる球状の部分が、肩甲骨のくぼみ(関節窩:かんせつか)にはまり込む構造になっています。
肩関節は他の関節と比べて接触面が浅く不安定なため、多くの周辺の筋肉や靭帯によって支えられています。
また、関節の表面には軟骨で覆われており、これにより滑らかな動きができるのが特徴です。
一口に肩関節と言いますが、次の5つの関節があります。
そしてこれら関節には、解剖学的関節と機能的関節というものがあります。
関節包と言われる、関節を包む膜や軟骨などの組織で覆われている部分。
肩関節だと肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節が解剖学的関節になります。
関節包のような、関節を構成する組織が無いが、機能的に関節のような役割をしている隙間の部分。
肩関節だと、肩甲胸郭関節、肩峰下関節(第二肩関節)が機能的関節になります。
関節を安定させる構造として、回旋筋腱板と呼ばれる構造体が肩関節には存在しています。
回旋筋腱板は、英語でローテーターカフ(Rotator cuff)とも言われ、肩甲上腕関節のインナーマッスルとして機能する筋肉になります。
回旋筋腱板は、棘上筋(きょくじょうきん)・棘下筋(きょくかきん)・小円筋・肩甲下筋で構成されています。
ローテーターカフは、肩関節が動くときの安定化機構として、関節窩(かんせつか)に上腕骨頭を押し付けて、関節を安定させる役割があります。
このローテーターカフというインナーマッスルが機能することで、アウターマッスルが効率よく働くことができます。
つまり、スムーズな関節運動につながるため、日常パフォーマンスの向上やトレーニングンの質が向上します。
肩をあげる動きは、肩関節の屈曲という動きになります。
身体の体側から天井まであげるために、肩関節が180度の可動域が必要になります。
肩甲上腕関節(上腕骨と肩甲骨)のみの動きでは、180度まであげることができません。
ここで必要なのが鎖骨や肋骨の連動的な動きです。
肩関節で最も負担がかかりやすいのは、肩甲上腕関節になります。
肩甲骨の関節窩と上腕骨頭の位置関係のバランスが崩れてしまうと、正しい関節運動ができなくなってしまい、可動域が制限されたり痛みにつながります。
肩が挙がらないひとの代表的な原因の一つが猫背の姿勢です。
猫背になることで胸が開きづらくなります。
胸が開かないということは、胸椎*の可動域に制限がかかってしまい、首や腰に過度なストレスを与えてしまうこととなり、肩だけでなく首や腰の痛みの原因にもなります。
*きょうつい:脊椎(せきつい)の一部で、頸椎(けいつい)と腰椎(ようつい)との間の部分
猫背は、胸の大胸筋という筋肉が硬くなります。
大胸筋は、鎖骨・胸骨・上腕骨に付着しており、硬くなることでそれぞれの関節の動きが制限されることになります。
また、猫背は胸椎の可動域制限をかけるため、腕を挙げた際、胸がうまく開かずに、途中から腕ではなく腰が反っている人は多くいます。
猫背の姿勢で、肩関節の動きが悪い状態で日常生活を送ると、肩甲上腕関節への負担が大きくなり、関節が壊れてしまいます。
つまり、肩関節複合体の中で、どの関節の機能が悪くなっても、肩の痛みや可動域の制限につながるのです。
このように、肩が挙がらなくなったり痛みや重だるさを感じた際には、腕や肩甲骨だけにフォーカスするのでなく、鎖骨や肋骨の動きなども確認する必要があります。
では、どのようにすれば悩ましい「猫背による肩関節問題」が解決できるのか、お話していきましょう。
猫背による肩のあげづらさの対処法の1つは大胸筋のストレッチです。
壁の横に立ち、片方の腕を壁につけます。
その状態で体を前方向に動かすと肩の前あたりが伸びた感覚になります。
その部分が大胸筋の付着部分になります。
その他にも自分で鎖骨の上や下を軽く指で押しながら肩を動かすことで、鎖骨に付着する筋肉のリリースができます。
日常で腕を180度上にあげることは少ないため、肩関節の筋肉はどんどん硬くなります。
筋肉は動かさなければ衰え、硬くなる一方です。
肩関節の動きを自分自身で確認することは難しいですが、運動習慣を確保することや仕事や家事をしている最中でも、肩を回したり背伸びをするなどして、なるべく筋肉を動かすようにするだけでも効果的です。
ぜひ皆様も、自分の肩がどのような動きをしているかを確認してみてください。
株式会社ミリオン・フィットネス
代表取締役 林 界斗
NSCA-CPT : NSCA認定パーソナルトレーナー
NASM-PES : 全米スポーツ医学協会認定パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト
カイロプラクティック整体院 トレーナー
運動特化型デイサービス トレーナー
「健康をテーマに運動を通して一人でも多くの方へ幸福を捧げたい」と思い、ミリオン・フィットネスを創業。お客様をはじめトレーナーへの指導、さらにラジオ番組においても運動指導をおこなうなど、アスリートから一般の方、子供から高齢者まで、幅広いお客様のご期待に添うべく活動している。
主な出演:ABCラジオ「全力投球!!妹尾和夫です。サンデー」、FM守口「疋田哲夫の哲ちゃん”哲学”」
ミリオン・フィットネスは、大阪 肥後橋のリピートが多い 予約貸切制のおしゃれなコンディショニング・パーソナルジムです。
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