筋トレを行う時は、筋肉が縮みながら力を発揮する(短縮性筋収縮:コンセントリック)時には息を吐き、筋肉が伸びながら力を発揮する(伸張性筋収縮:エキセントリック)時には息を吸うなど、呼吸を意識されていると思います。
    それでは、トレーニングしていない普段、私たちは意識して呼吸をしたことはあるでしょうか。
    意識といっても深呼吸という意味ではなく、正しい呼吸という意味です。

    私達は、呼吸を1日に約2万回行っています。
    その呼吸をちょっと意識することにより、姿勢改善自律神経のコントロールといったメリットをたくさん受けることが出来ます。

    実は、呼吸は運動で、最強の筋トレなのです。
    アスリートの世界では呼吸の重要性に注目しており、チームに専門の講師を呼んで、選手自身が呼吸の知識をつけるほどです。
    当ジムでも、姿勢評価や動作評価はもちろんですが、呼吸の評価も行っています。
    この呼吸の評価は、お客様が来店されてからの会話やカウンセリング時からすでに始まっています。
    呼吸がこうだから姿勢不良や動作不良が起きている、というケースは多々あります。

    それでは、呼吸について詳しくお話していきましょう。

    目次

    1.「呼吸」とは

    2.呼吸の種類
    (1)胸式呼吸
    (2)腹式呼吸

    3.横隔膜の動きがポイント

    4.呼吸で自律神経をコントロール

    5.腹式呼吸のやり方

    まとめ

    1.「呼吸」とは

    私たちが呼吸をする理由は、生きるために身体に酸素が必要だからです。
    その酸素を取り込むために呼吸をします。

    呼吸とは、肺から取り込まれた酸素が血液中に流れ、今度はその酸素を身体の中の細胞が取り込み細胞は酸素を使用して生命に必要なものを作っていきます。
    その中で生じた二酸化炭素を、今度は細胞が血液の中に排出するという、肺で行われる呼吸と同じような作用を行います。

    この一連の作用を「呼吸」と呼びます。

    2.呼吸の種類

    普段、何気なく行っている呼吸でも呼吸法は数多くあります。
    その中でも、一般的に知られているのが「胸式呼吸」と「腹式呼吸」でしょう。
    胸式呼吸と腹式呼吸は、どのような呼吸法で、何が違うのでしょうか。

    (1)胸式呼吸

    息を吸ったときに胸が膨らみ、息を吐くと胸が凹むという動きをしています。
    このように胸が動く呼吸は「胸式呼吸」といい、お客様の呼吸評価をした際、ほとんどの方が胸式で呼吸されています。

    (2)腹式呼吸

    息を吸ったときにお腹が膨らみ、息を吐くとお腹がへこむという動きをします。
    仰向けで寝ころびながら腹式呼吸ができるようになると、過度な反り腰や猫背姿勢に有効な改善トレーニングとなります。
    仰向けでは難しい場合は、うつ伏せになるとお腹が圧迫されるため、お腹の動きを意識しやすくなります。

    基本的に、腹式呼吸はリラックスしている状態や睡眠時に自然に行っている呼吸ですが、日常活動中はほとんど行えていません。
    そのため、疲れやすい人やストレスを感じやすい人は、腹式呼吸を意識するとことで改善策の一つになるでしょう。
    また、横隔膜を大きく動かしますので、内臓が刺激され、血流が良くなり、冷え改善や代謝アップ効果も期待できます。

    このように腹筋を動かすことから、腹筋強化腰痛対策にもなるといわれており、日々の生活の中に腹式呼吸を意識的に取り入れることで、様々なメリットを得ることができます。

    3.横隔膜の動きがポイント

    胸式呼吸と腹式呼吸の大きな違いは、横隔膜の動きです。
    横隔膜とは、胴体のほぼ真ん中にある、ドームのような形をした膜状の筋肉で、胴体を肺のある「胸部」と、腸などその他の臓器のある「腹部」に分けています。
    血管や食堂などを通す穴があいている以外は、胴体内部での上下は横隔膜によってしっかり分かれています。
    横隔膜は、膜とは言ってもペラペラとした薄い膜ではなく、厚みを持った伸縮性のある筋肉です。
    焼肉のメニューで言うとハラミです。
    この筋肉は、呼吸や体幹部の安定性を作り出すとても重要な筋肉です。

    呼吸と横隔膜の関係
    • 呼気(息を吐く)⇒ 横隔膜を引き上げる
    • 吸気(息を吸う)⇒ 横隔膜を下げる

    深呼吸を除けば、胸式呼吸では横隔膜をあまり動かさず呼吸を行います。
    そのため、呼吸が浅く肺に酸素がしっかり取り込めません

    腹式呼吸は、横隔膜を下に下げて肺が膨らむための隙間を作ってくれます。
    そのため、一般的な胸式呼吸よりも一度に吸う量が多くなります。
    酸素がしっかり肺に送り込まれるということは、血液循環にも影響を及ぼすため、代謝も促しやすくなります。
    そのため、ダイエットが目的でトレーニングを始める方にも、まずは日常で行える腹式呼吸をマスターしてもらうことお勧めします。

    4.呼吸で自律神経をコントロール

    自律神経とは、内臓や血管などをコントールする働きがあり、体内の環境を調節する神経です。
    自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあり、交感神経は興奮作用副交感神経はリラックスする作用があります。
    そのため、自律神経が安定しないと「やる気がでない」「夜になっても慣れない」など、生活習慣の中に問題が起きてきます。

    ではこの自律神経と呼吸の関係性についてですが、ここでも腹式呼吸が重要になってきます。
    お腹と横隔膜を大きく動かす腹式呼吸は、ゆっくりと深く呼吸をするため、副交感神経が優位になり筋肉の緊張が解けて体をリラックスさせることができます。
    そうすると、脳に送られる酸素の量が増え、感情の暴走を抑える役割を持つセロトニン(幸せホルモン)の分泌量が増えるため、気持ちが安定してストレスが軽減されます

    「溜息を吐くと、幸せが逃げる」と聞いたことはありませんか。
    実際は、溜息のように自然とでる呼気は全く筋肉をつかわないため、最もリラックス効果があるのです。
    交感神経優位に偏っている自律神経を整えようとしている合図ですので、ご安心を。

    5.腹式呼吸のやり方

    最後に、腹式呼吸のやり方についてお話します。
    難しくありませんので、ぜひ実践してみてください。

    1. 膝を立てて仰向けに寝た状態でお腹に手を当てる
    2. 口または鼻から大きく息を吐き出し、お腹をへこませる
    3. 鼻から大きく息を吸ってお腹を膨らませる
    4. 2.3.を繰り返す

    ポイントは「吐く」から始めることです。

    呼吸法というと「吸う」ことに意識が集中しがちですが、しっかり息を吐いていないと吸うことはできません
    また、吐くときは鼻でも口でも構いませんが、吸うときは鼻から吸うようにしましょう。
    口から吸うと、胸式呼吸になりやすいためです。
    呼吸はできるだけゆっくり行い、身体に力が入らないよう注意してください。

    まとめ

    普段無意識に行っている呼吸ですが、ほとんどの人が息を吐けておらず吸ってばかりいます。
    息が吐けないということは、無意識に筋肉を緊張させてしまい、ストレスを溜めてしまっているかもしれません。
    少しの意識で、多くの効果が期待できる呼吸運動を行うことで、あなたのパフォーマンスは確実に向上するでしょう。
    ぜひ、呼吸運動を日常で行ってみてください。

    この記事を書いた人

    株式会社ミリオン・フィットネス  
    代表取締役 林 界斗

    NSCA-CPT : NSCA認定パーソナルトレーナー
    NASM-PES : 全米スポーツ医学協会認定パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト
    カイロプラクティック整体院 トレーナー
    運動特化型デイサービス トレーナー

    「健康をテーマに運動を通して一人でも多くの方へ幸福を捧げたい」と思い、ミリオン・フィットネスを創業。お客様をはじめトレーナーへの指導、さらにラジオ番組においても運動指導をおこなうなど、アスリートから一般の方、子供から高齢者まで、幅広いお客様のご期待に添うべく活動している。
    主な出演:ABCラジオ「全力投球!!妹尾和夫です。サンデー」、FM守口「疋田哲夫の哲ちゃん”哲学”」

    ミリオン・フィットネスは、大阪 肥後橋のリピートが多い 予約貸切制のおしゃれなコンディショニング・パーソナルジムです。

    ダイエット・ボディーメイク・姿勢矯正はもちろんのこと、肩こり・腰痛・膝痛・ストレス・疲れやすい・健診数値などの改善を、トレーニング & リカバリーケア & ニュートリション の3点からサポートいたします。

    大阪市西区京町堀1丁目7番22号
    クレグラン京町堀 501号

    肥後橋駅   : 徒歩2分
    淀屋橋駅   : 徒歩6分
    本町駅    : 徒歩7分
    梅田堂島地下街: 徒歩15分