筋トレには、きわめて多様な効果があるのですが、皆さんどのようなイメージをお持ちでしょうか。
一般的には、筋肉ムキムキだったり、引き締まった体作りではないでしょうか。
また、スポーツ選手であれば、競技パフォーマンの向上でしょう。
ダイエット・ボディメイクの手段としても、筋トレを実施する人も多いでしょう。
最近では、ランニングやウォーキングなどの有酸素運動より、筋トレのような無酸素運動を実施する人が増えており、芸能人やモデルに至っては、パーソナルジムへ通うのが当たり前のようになってきています。
一般の方々も、withコロナの新しい生活様式も根付きつつある中、外出自粛、リモートワークなどで運動も不足気味となり、NHKの「みんなで筋肉体操」や「オンライントレーニング」の普及などを機会に筋トレに取り組み始めるなど、世代を超えて広がりつつあります。
そうした中、筋トレについてのノウハウは多く発信されるようになりましたが、筋トレに期待できる効果についての情報はまだまだ少なく、間違ったとらえ方をしている人も少なくないようです。
ここでは、そのような誤解を解くとともに、年齢とともに変化する筋トレへの期待出来る効果についてお話していきます。
筋トレに取り組むきっかけになれば、嬉しく思います。
まずボディビルダーのような大きな筋肉を作るのは、並大抵の努力では作ることができません。
さらに、トレーニング初心者が数カ月のトレーニングで筋肥大が起こるのは考えにくく、その期間で実際に向上しているのは、「動作の慣れ」と「神経系の改善」とされています。
例えば、20㎏のバーベルを担いでのスクワットが1度もできなかった方が、1週間後には綺麗なフォームで10回できました。
トレーナーによっては、「筋力がついてきたんですよ~」とか言ってくれるところもあるようですが、実際は筋肉が成長しているのではなく、スクワットの動作に身体が慣れ、さらにスクワット動作における筋発揮、つまり神経系の改善が向上していることが考えられます。
そして、筋肉を成長させるのは筋トレだけではありません。
筋トレでは、筋肉の組織へ微細な損傷を起こします。
その傷めつけられた筋肉を回復させるために、バランスのとれた正しい食事としっかりした休息が重要なのです。
ボディビルダーのような身体には、「過酷な筋トレ」「ストイックな食事」「筋肉を一番に考えた休養」のトライアングルを完成させ、何年も何年も努力をしてやっとたどり着けるのです。
ですから、「筋トレでムッキムキにはなりたくない」と思っているあなた、そんな心配はありませんので、ご心配なく!
これに関しては、恐らくトレーニングをしている過程でパーフォーマンスが落ちた経験があった方の話だと思います。
しかし、トレーニングとは競技のスキル(技術)を向上するためのものではなく、競技のパフォーマンス(競技に必要な力発揮)を向上させるツールであることを、改めてご認識ください。
もし、トレーニングが原因で競技パフォーマンスが低下している場合は、トレーニング方法を見直す必要があります。
正しい筋トレは、筋肉をつけるだけではなく、正しい身体動作を促す、身体バランスを整える効果も十分に期待できます。
よく「無駄な筋肉がついて動きが悪くなる」といった意見を耳にしますが、無駄な筋肉がついて動きが悪くなっているのではなく、正しい筋肉に力が入っていないことで、無駄な筋肉に力が入っている状態なのです。
筋トレ=筋肉量を増やすと考えるのはなく、どのような目的でトレーニングを行うのか、どのような動きに特化させたいのかが非常に重要です。
これは、「トレーニングの原理原則」にある「特異性の原理」というものに該当します。
これは、まったくの間違いです!
まず、筋肉は腱を介して骨に付着ししており、必ず関節を跨いで付着しています。
その理由は、筋肉は関節を動かすためについているからです。
筋肉は、「筋繊維が束」となってできているのですが、この筋繊維の数は、人間では増えないと言われています。
そのため、脂肪の上にあらたに筋肉がつくことはありません。
「不健康なダイエット!?単位減量するべからず」でご紹介した筋肉量が増えるということは、除脂肪量が増えるということです。
そうすることによって、身体代謝が向上し、脂肪燃焼の効果が向上します。
イメージ
・筋肉 ⇒ 動くと成長する。年齢とともに低下する。
・脂肪 ⇒ 動かないと成長する。年齢とともに成長しやすくなる。
しかし、筋肉のバランスの偏りには注意が必要です。
これは女性の方から聞かれるのですが、「筋トレすると太もも前ばかりが張ってくる」といった内容です。
こういった経験がある方は多いのではないでしょうか。
筋肉は弾性の性質でできており、例えるならゴムのようなものです。
そして、伸長と収縮を繰り返し、身体を動かしています。
しかし、姿勢不良や動作不良が原因で筋バランスが悪くなり、筋肉の硬結を起こることで筋肉の伸張性がうまく働きません。
このようになると、筋肉のつき方に偏りが出てしまいます。
筋トレの効果といえば、先にもお話したとおり、ダイエットやボディーメイク、運動パフォーマンス向上・・・など、理想の体をつくるために必要だという認識はかなり広まってきました。
しかし、筋トレには、視座を変えてみると見えてくる効果もあります。
昨今の情勢なども踏まえて、一般的かつ若者層の期待効果からお話していきましょう。
かつてはダイエットといえば、食事によるものが多く流行しましたが、近年では、TVCMなどでもおなじみのように、筋トレが取り入れられるようになりました。
トレーニング経験がない方からすれば「ダイエットなのに筋トレ?」と不思議に思う方もいらっしゃいます。
「痩せる=筋トレ」という発想はないようです。
ダイエットのために取り組む理由は、すでにご存じの方も多いと思いますが、筋トレをすることによって基礎代謝量が向上し、体脂肪が落ちやすい体になるということです。
この目的で筋トレをされる方は、まだ少ないようです。
肩凝りや腰痛の解消のために筋肉を鍛えるという発想にはならないのが一般的です。
むしろ、そんなことしたら悪化すると、恐怖の方が先に来るようです。
しかし、筋トレをすることによって、肩や腰、首まわりの筋肉を増やし、肩凝りや腰痛を招く体の部位をしっかりと支えるようになり、改善に向かうのです。
以上のような、ダイエットや肩凝り・腰痛などの機能改善は、筋肉ムキムキ(筋肉肥大効果)や競技のためのパフォーマンス向上効果と同様に、皆さんにも比較的馴染みがある効果でしょう。
一般的には、こうした外面的な効果に目が向きがちなのですが、筋トレには、年齢を重ねて行くにつけ、人生を左右するかもしれない深~い効果があるのです。
「体は資本」とよく言われるが、年々その資本は減っていきます。
次のようなご経験はありませんか?
・駅の階段上りがきついので、エスカレーターを使ってしまう
・階段を上っただけでも息があがる
・ダッシュしたら足がもつれてしまった
・子供の運動会で、足が空回りして転倒した
・走っていて肉離れを起こした
・ボールを投げたら肩に痛みが走った
・ちょっとした段差につまずいた
私たちの体は、年齢の経過とともに、どういう状況となっているのでしょうか。文部科学省が実施している「体力・運動能力に関する調査」によれば、一般的には、体力の衰えは20代前をピークにして下降が始まり、40代くらいからは加齢とともに加速してくようです。
参考:文部科学省 平成28年度の体力・運動能力に関する調査結果の概要https://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2017/10/10/1396889-2.pdf
こうした体力・運動能力をキープする(厳密には、下降線を緩やかにする)には、できるだけ早い時期から筋トレを行うことにより間に合います。
しかし、遅くなれば、取り戻すのに、それだけ多くの努力が必要となるということでもあります。
成人病検診は一般的には35歳からですが、年齢を重ねるにつれて、その結果が気になるのではないでしょうか。
40代以上ともなれば、高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病をはじめ、さまざまな病気が気になってきます。
一方、この30代後半あたりからは、家庭でも社会における立場でも、先頭に立って成果を出していかねばならない働き盛りの時期になっていきます。気が付いてみれば仕事に没頭し、体を動かす時間をとれない方も多いでしょう。また昨今のリモートワークも、それに拍車をかけているようにも見受けられます。
そのような中、「言われなくても分かっている」「いや大丈夫、体力には自信がある」と思っており、気にかけていない方も意外と多くいらっしゃるようです。
参考:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」
~自然に健康になれる環境づくりに向け、健康無関心層の実態を初めて把握~
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
しかし、その思い込みが命取りになりかねません。
人間の体力は、着実に想像以上に衰えていきます。
そして会社人生を終えて「衰えた現実をリアルに目の当たりにしたとき」には、過去には戻れないのです・・・後悔「後になって悔やむ」です。
そうならないための基本は、生活習慣の改善であり、その一つが食事です。
そしてもう一つは、運動を欠かさないことで、有酸素運動に加え、筋肉が衰える中高年は筋トレも組み合わせることで、改善効果が期待できるとされています。
以上のように、筋トレは内外両面で改善を促し、若さを保つ効果が高いのです。
ビジネスパーソンにも、筋トレに取り組む人が増えつつあるのは、そのような事実に向き合う人が増えてきたということでしょう。
2021年4月から、70歳雇用確保への一歩が始まります。従来は「65歳まで現役社会」でしたが、今年の4月から70歳雇用確保の努力義務が始まることにより、年金制度も今後見直されることになれば、65歳リタイアということは見直さざるを得ません。
20~30歳代の皆さんにとっては、引退年齢70歳と考えることも時期尚早かもしれません。そのためにも、より長く健康でいることが重要となってきたのです。
そして、その流れを汲んで、高齢者の筋トレへの取り組みが盛んになってきました。
フレイユとは「加齢による虚弱化」のことで、この予防に筋トレは一役担っており、腰が曲がる背骨の湾曲を防いだり、高齢になっても自立歩行が可能な脚力をつけていきます。
核家族化が進む中、高齢者は施設へ入ることが一般的になってきましたが、ほとんどの方は「死ぬまで自分の足で歩き続けたい」と思っていらっしゃる(そんなの当たり前で考えていないかもしれない)のだと思います。
しかし、高齢者となると、次のような悪循環が起きがちです。
①加齢で筋肉が減る「サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)」という状態に陥る、
②歩く速度や筋力が下がり、疲れやすくなる
③その結果運動量が減る
④1日のエネルギー量が減る
⑤食欲が出ずに食事の量が減る
⑥慢性的栄養不足になる
⑦さらに筋肉が減る
そしてその結果、日常生活に支障が出るフレイルの状態になり、要介護や寝たきりになるリスクが高まるのです。
従来の高齢者の筋トレといえば、軽度の運動が中心でしたが、フレイル予防には効果的ではないと昨今では言われています。
予防に効果的にするには、科学的な根拠にもとづいた筋トレによる筋力の維持・向上や、有酸素運動による心肺機能の維持・向上を行う必要があります。
この予防のための筋トレには、運動の負荷も事前に測定した内容に応じて、無理がないように、一人ひとりに合わせた、きめ細かな指導が必要となりますので、専門家の指導のもと行うことをお勧めします。
筋トレの効果についてお話してきましたが、筋トレの効果については、まだまだ正しい理解が広がっていないのが現状だと感じています。
私たちトレーナーは、様々な社会情勢を踏まえて、社会的責任を背負って、判断材料となるような正しい情報をお伝えしたり、現場で指導していく必要があります。
そのためには、日々新たな正しい知識と指導方法を開発していけねばなりません。
一方、皆さんの中でも、すでに状況を理解して、熱心にジムなどに通って筋トレに励まれている「健康意識が高い」方々もいらっしゃいます。
昨今言われる「筋トレブーム」は、上記のようなことが理解されてきた証でもあるのでしょう。
まだ、筋トレを始めていないあなたは、今人生の分かれ道に立っています。
もう今さら、なんて言っている場合ではありません。
「老け込む」「老け込まない」どちらの道を選びますか?
この決断で、5年後、10年後、あなたの人生は確実に変わるでしょう。
年齢が若ければ若いほどトレーニングの効率は上がり、疲労回復もスムーズなのは確かです。
しかし、年をとってもトレーニングの成果は十分に得られます。
皆さんにとって「今が、あなたの体が一番若いとき」なのです。
始めるのが遅くなれば、その分トレーニングの効率は下がります。
理想的な結果を出すためにも、筋トレ始めるなら「今でしょう!」
株式会社ミリオン・フィットネス
代表取締役 林 界斗
NSCA-CPT : NSCA認定パーソナルトレーナー
NASM-PES : 全米スポーツ医学協会認定パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト
カイロプラクティック整体院 トレーナー
運動特化型デイサービス トレーナー
「健康をテーマに運動を通して一人でも多くの方へ幸福を捧げたい」と思い、ミリオン・フィットネスを創業。お客様をはじめトレーナーへの指導、さらにラジオ番組においても運動指導をおこなうなど、アスリートから一般の方、子供から高齢者まで、幅広いお客様のご期待に添うべく活動している。
主な出演:ABCラジオ「全力投球!!妹尾和夫です。サンデー」、FM守口「疋田哲夫の哲ちゃん”哲学”」
共同執筆 丸林 稔
同社 取締役
コンサル会社を経営する傍ら、自身が60歳を迎えたのを機会にトレーニングに励んだ。筋トレは、今後の社会において高齢者に必須と身をもって感じ、World Trainers Academy (林の前職)でパーソナルトレーナー資格(NSCA)について林から学んだ。その後、林の理念に共感し事業を支援している。
ミリオン・フィットネスは、大阪 肥後橋のリピートが多い 予約貸切制のおしゃれなコンディショニング・パーソナルジムです。
ダイエット・ボディーメイク・姿勢矯正はもちろんのこと、肩こり・腰痛・膝痛・ストレス・疲れやすい・健診数値などの改善を、トレーニング & リカバリーケア & ニュートリション の3点からサポートいたします。
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