新型コロナウイルスは変異株に置き換わり、その猛威は納まりません。
    ワクチン接種もはじまりましたが、しばらく時間を要し新しい生活様式が続く中、自分の体を守る最後の砦は、やはり「免疫力」です。

    では、免疫力を高めるには、普段の生活でどのようなことを心がければよいのでしょうか。
    今回、免疫力について分かりやすくお伝えしたいと思いました。
    トレーナーの私から皆さんへお伝えし、皆さんの日々の生活にお役に立てれば嬉しく思います。

    目次

    1.身体を守る働き「免疫」

    2.免疫の2段階システム
    (1)粘膜免疫
    (2)全身免疫

    3.免疫力を高める
    (1)食事で高める
    (2)運動で高める
    (3)睡眠で高める

    まとめ

    1.身体を守る働き「免疫」とは

    「免疫」とは、読んで字のごとく「疫(病気)を免れる」と表されているように、自らを守る仕組みのことです。
    空気中には、たくさんのウイルスや細菌が漂っています。
    マスクや換気をしていても、これらの病原体は体内に侵入してしまいます。
    それでも風邪や病気を発症しないのは、体内にある免疫システムが正常に働いてくれるからです。
    まずは、その免疫システムがどのような仕組みなのかについて、理解しましょう。

    2.免疫の2段階システム

    人間の免疫システムは、(1)ウイルスや細菌を「侵入させない」、そして(2)侵入しても「排除する」という、2段階で構成されています。
    第1段階の侵入させない仕組みが「粘膜免疫」、第2段階の排除する仕組みが「全身免疫」といいます。

    (1)粘膜免疫

    目、鼻、口、喉、腸管などには粘膜があり、それにより異物が体内に侵入するのを防いでくれる、いわゆるバリアの働きをしてくれています。
    粘膜免疫は、①免疫物質の「IgA」、②粘液の「ムチン」、③「線毛」の3つで構成されています。

    ①まずIgAが、異物を捕まえ無力化させる

    このIgAは、タンパク質でできており、特定のウイルスや細菌だけではなく、さまざまな種類の病原体に反応します。
    したがってIgAが低下すると病気にかかりやすくなります。
    IgAは鼻汁、唾液に存在しますが、特に腸に多く存在し、食べ物とともに侵入するウイルスや細菌などから守ってくれています。
    このIgA抗体をつくるために重要な役割を果たしているのが短鎖脂肪酸であり、その短鎖脂肪酸をつくりだすのが、皆さんがよく耳にするビフィズス菌なのです。

    また、食べ物の入り口である、口の中が汚れていたり唾液減ったりするとIgAの働きが悪くなり異物が体内に侵入しやすくなってしまいます。
    現に口腔ケア(出来ればプロの)は、インフルエンザなどへの感染予防力がアップするとされています。
    普段の生活で簡単に出来ることでは、粘膜免疫を正常に保つために、水分補給やマスクの着用で粘膜の潤いを保つ(口の中を乾燥させない)ことが大切です。

    ②次に粘液のムチンが無力化した異物を包み込む

    次に活躍してくれるムチンは、糖とたんぱく質でできた粘り気のある成分です。
    保水力が高く、あらゆる粘膜や涙・唾液や胃液に含まれています。
    粘り気で粘膜を覆い異物から守っています。
    分かりやすい例は、唾液に粘り気が感じられると思いますが、その正体がムチンなのです。

    ③そして最後に、線毛が、包み込んだ異物を体外に排出する

    線毛は喉に生えた細かい毛で、ムチンが包み込んだ異物を体外へ排出しようと働いてくれます。
    運動会の大球送りのように、たくさんの手で次々と進んで行くのをイメージして頂くと分かりやすいと思います。
    線毛を正常に機能させるのも、口の中を乾燥させない事が大切です。
    こまめな水分補給やうがいで喉を潤しておきましょう。

    (2)全身免疫

    しかし、感染力が強い場合や粘膜の状態が悪い場合は、粘膜免疫が破られて異物が体内に侵入してしまいます。
    そこで働くのが、第2段階の全身免疫です。
    全身免疫は、①病原体の侵入後、直ちに働く「自然免疫」、②学習して体が備えている「獲得免疫」」の2つで構成されます。

    ①まずは、自然免疫が病原体を攻撃

    免疫力とは、この働きのことを指し、血液やリンパ液に含まれる免疫細胞が全身を循環していて、異物が侵入してきたときに攻撃し排除しようしてくれます。
    まさしく、この自然免疫力を高めることが、大切なのです。
    そのポイントについては、次の「3.免疫力を高める」で整理してお話します。

    ②獲得免疫で事前(次)に備える

    私たちの体内には、侵入した病原体を記憶する機能が備わっており、病気になると発熱して病原体の活動を抑制したり、下痢を起こして悪いものを早く体外に出したりする反応が起こります。
    また、インフルエンザなどの感染症にかかった人は、同じものにかかりにくくなり、これも免疫の働きによるものです。
    このような仕組みを獲得免疫といい、私たちにとっては非常に心強い味方です。

    この獲得免疫を、意図的に取り込むのがワクチンです。
    ワクチンのうち生ワクチンと呼ばれるものは、この獲得免疫の仕組みを利用しており、症状が出ないようにあらかじめウイルスを弱くしたものを投与することで一度かかった状態にします。
    そうすると、そのウイルスの情報を細胞が記憶し、実際のウイルスの侵入に備えられるので素早く排除する事ができます。

    補足情報

    現在流行している、新型コロナウイルスのワクチンは、ウイルスの一部のタンパク質をコードするDNAやRNAを合成し、筋肉注射をするDNAやRNAワクチンが主流となっています。

    3.免疫力を高める

    では、免疫力を正しく働かせ防御機能を高めるには、どのようなことが大切なのでしょうか。

    身体は35.6~37℃で最も良く機能すると言われており、体温を上げることで免疫力が働きやすくなります。
    皆さんも、重い風邪をひくと熱が出て体温が上がるご経験があると思います。
    これは、ウイルスや細菌は熱に弱い性質があるためで、自らの体温を上げて対応しているのです。

    逆に、体温が1℃下がると免疫力が30%低下するといわれています。
    低体温の人や、体温が下がった状態ですと、風邪や病気にかかりやすくなります

    免疫力を機能させるために体温調節は必要であり、そのためには食事や運動・睡眠の内容がとても大切になります。

    (1)食事で高める

    人間の身体や体調には、言うまでもなく食事がとても大切になります。
    栄養バランスの整った食事は、身体の機能を上手く働かせるために、とても大切です。
    (栄養素に関連するブログがございますので、ぜひご参照ください。)

    特に腸内には免疫細胞の60~70%が存在するといわれており、腸内(1)粘膜免疫①IgAの項でもお話したように、腸内環境を良くする事が免疫力を上げるためにも重要です。
    そのために、乳酸菌や野菜やきのこ、海藻などの食物繊維を多く含む食べ物を積極的に摂ると、腸にいる善玉菌が増え、腸の機能を向上させることができます。

    また、朝食をしっかり摂ることでセロトニンが分泌されます。
    タンパク質を分解したアミノ酸の一種であるトリプトファンが、セロトニンを分泌するための材料になると言われています。 したがって、朝食に肉や魚や卵、乳製品を取り入れると良いでしょう。

    また、よく噛むことや、胃腸に刺激が入ることも、体温を上げることに繋がるので、食事の時はぜひ意識しましょう。

    (2)運動で高める

    皆さんもご経験があると思いますが、寒いときに身体が震えることがあると思います。
    実は筋肉を動かして熱を生み出しているのです。
    これは、人間の自然発生的な現象です。

    同様に意図的に適度な運動により筋肉を動かすことも有効です。
    そのことから、筋トレ有酸素運動も免疫力を高めるのに効果的です。

    また、筋肉量が多い人ほど、体温が上がりやすいと言われます。
    したがって、筋肉量を増やすことで、免疫力向上に繋がります。
    加えて、運動により自律神経が整うことにより血流量が増え、酸素や栄養が全身に行き渡ります。

    このように、運動は免疫細胞を活性化してくれます。
    ただし、運動強度が上がりすぎると、逆に免疫力が下がるので注意が必要です。

    (3)睡眠で高める

    人間は睡眠をとることにより、脳と身体を休ませています。
    毎日闘っている免疫細胞も、睡眠により回復させなければなりません。
    睡眠の質が悪い場合や睡眠不足ですと、免疫力が下がってしまいます。
    質の良い睡眠をとることで、副交感神経が働き白血球の中のリンパ球を増やすため病気にかかりにくくなります。

    それでは、睡眠の質を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。
    睡眠の質には、睡眠ホルモンと言われるメラトニンというホルモンが重要になります。
    メラトニンは、抗酸化作用や免疫力を高める働きがあり、体内時計を整えることで分泌量が増えます。
    体内時計を整えるためには、朝日を浴びたり、朝食をとることで体内のスイッチが入りますので、朝起きたら意識して実行してください。

    まとめ

    冒頭にも述べましたが、新型コロナウイルスは変異して、より一層猛威を振るっています。
    そのような中、私たちができることは、マスクや外出を控えるなどの新しい生活様式を実践していくこと。そして、一人ひとりが免疫力を高めることで感染リスクを下げることです。
    そのことが自分の体を守ることと同時に、医療体制の確保へも貢献につながると思います。
    今回お話した内容を意識していただき、ぜひ実践して自らの体を守りながら生活してまいりましょう。

    参考:厚生労働省e-ヘルスネット 免疫の検索
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/?s=%E5%85%8D%E7%96%AB

    この記事を書いた人

    株式会社ミリオン・フィットネス  
    トレーナー 那須 陸哉

    NSCA-CPT : NSCA認定パーソナルトレーナー
    NASM-PES : 全米スポーツ医学協会認定パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト
    健康管理能力検定2級

    代表の林が講師をしていたWorld trainers academyで林に師事し当業界に入った。自宅でも常に自己研鑽に励み、トレーニングや健康に関する学習はもちろんのこと、お客様にお勧めするトレーニングやストレッチは、時間があれば常に自身で試し、お客様の生活の質向上や健康的な生活へ導く準備に余念がない。また、USJでの前職経験があり、お客様に楽しんでいただく精神はトレーナー随一と評判が高い。将来が有望な若手である。

    ミリオン・フィットネスは、大阪 肥後橋のリピートが多い 予約貸切制のおしゃれなコンディショニング・パーソナルジムです。

    ダイエット・ボディーメイク・姿勢矯正はもちろんのこと、肩こり・腰痛・膝痛・ストレス・疲れやすい・健診数値などの改善を、トレーニング & リカバリーケア & ニュートリション の3点からサポートいたします。

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